HD DVDとBlu-rayの争いをとりあえず整理してみる

この前、自分が参加している小さな勉強会でもこの話題になった次世代記録メディアの話。
いろんな人がいろいろ論じているので自分なりにまとめてみる。

そもそもこの企画争いはなんだったのか

今のところ、そんなキレイ画質で見たい映像・映画はそんなにないわけで
容量がでかいということを売りにされても全く心躍らないこの戦い。


その点、僕の大好きな高城剛はとあるサイトでこう発言していました。

まず HD DVD とブルーレイっていうのは大きく分けるとPC系メーカーとAV系メーカーの対決なのよ。
HD DVD が IT 連合でブルーレイが AV 連合っていう具合に。
http://www.takashiro-ism.com/html/q19.htm

確かに確かに。序盤、インテルマイクロソフトが応援したのもHD DVD側。
今のソニーのブルーレイのサイトでも「これまでのテレビにはDVD、ハイビジョンTVにはブルーレイ」
というキャッチコピーで売り出しているしなぁ。
http://www.sony.jp/products/Consumer/BD/index.html
抱き合わせで売る戦略が見え見えでちょっと引きますが…。
まぁ、僕みたいな若造にドン引きされようがターゲットは違うんだろうからかまわんってことですかね。
(イメージキャラクターで矢沢永吉の時点でちょっと世代が違うよなぁ)

HD DVDの負けた理由

結局負けたポイントはどこだったのかが問題に。
HD DVDの撤退が決まった翌日、東芝の株価は上がったけれどソニーの株価が上がらなかったってことは
投資家の中ではもっと早い時点でブルーレイの勝利が見えていたという風に考えられる。
いくつか説があるので考えてみる。


1.容量の問題
HD DVDは1層で15GB、2層で30GB。
Blu-rayは1層で25GB以下2層で50GB。現状で4層(200GB!?)までは出来るらしい。
容量が大きいほうがいい画質のいい音の映像をぶち込める。
だから、容量がでかいほうが勝った、という話。
いい画質のものが売り出せることはコンテンツ提供会社への説得がしやすくなるだろう。
コンテンツ提供会社を落とせれば、ユーザーも満足するので全て解決という流れなのかな。
この説によるのであれば、ブルーレイの2層式が安価で大量生産出切るようになった時点で
勝ちが決まったと考えられます。


2.ネーミングの問題
どなたかのブログでもネーミングが勝負を分けたという話を書いていました。
それは確か、電気屋に買いに行く時にHD DVDはいちいち確認されるので買いにくいという話でした。
僕個人の経験でいうと、友達との会話でHD DVDについて切り出したとき
HD DVDってハードディスクとDVDがくっついたプレーヤーのことでしょ?」
とボケられて唖然とした記憶があります。
(もちろんHD DVDプレーヤーにはハードディスクがついているものが多いけどね。)
HDはハードディスクではなくてhigh-definitionの略らしいぜ。友人よ。
そう思っている人は意外と少なくないのかなーと思うとHD DVDのよさは全く伝わらない層がいたんでしょう。
(お金持ちの電子機器弱い人なんかもこういう層に含まれそう)


3.映画会社の獲得競争
ワーナーが1月にブルーレイへの独占配給を決定→ウォルマートHD DVDの販売を止める
という流れが短期間に起きたため、ここがポイントなんだよみたいな話もよくあります。
僕なんかは、ユニバーサルがHD DVDへの独占配給から双方への配給に切り替えた時点が
映画配給会社におけるいわゆるティッピングポイントだと思っているのですが。
独占で配給していた会社が双方の配給に切り替えるというのは自信のなさからだと思うし。

結局のところ、勝者は誰なのか

もっと正直に言えば、この規格争いに夢中になれなかった理由はもうひとつあって、
ここから真の戦いが始まると思っているから。


次世代光ディスク規格争いには決着がついても、
映像配信メディアという大きな枠組みでは勝者は決まっていない。
高城剛がIT連合対AV連合の戦いと言っていたのはまだ続いていると僕は思っている。
所詮、IT連合の1番手であるHD DVDが敗れただけだと。
ここからブルーレイはブロードバンドやハードディスクとの戦いが待っている。
むしろ、先につぶせなかったことで相手に準備期間を与え、ものすごい強豪に育ってしまった。
そのひとつがGoogle率いるYoutubeであるし、そしてさらにapple率いるitunes(appleTV)もいる。
まだまだ戦うべき相手は山ほど残っている。


ここからは画質なんてそんなに気にしないし、むしろ気軽に手に入るほうがいいよねっていうユーザーを
「すごいでかいテレビで、すごいキレイな画質の映画を見ることの喜び」
みたいなライフスタイルを訴えて口説いていく流れになるんだろうなー。