東京国際ブックフェアの特別講演を聞いてきた

今日は、東京ビッグサイトで行われている
東京国際ブックフェアの特別講演を聞いてきた。
タイトルがなかなか大げさで
「どうする!出版産業のビジネスモデル −現行システムの根本を問い直し、未来への展望を探る。」
今から、未来への展望を探っていても間に合わないと思うのですが、
とりあえず、編集家の仲俣さんのブログで紹介されていたので行くことに。


パネリストは有隣堂の松信社長、筑摩書房の菊池社長、インフォバーンの小林社長。
3者3様で面白いメンツ、時間も90分と期待できる感じでした。
聞き終わった感想としては、こりゃ本屋ダメだなという感じ。


出版元や書店が語るのは、取次も含めた流通の話が多い。
返品率を40%から30%に下げれたらかなりいいとか、
ICタグを付けて返品率をコントロールしたいとか万引きをなくしたいとか、
再販制度と委託販売のどっちがよくないかとか、
ドイツとかアメリカみたいに書店の店員のクオリティを上げるだとか、
書店の販売データを分析することで返品率を下げますだとか、
なんかそういった話。


ここまで見ればわかると思うが、彼らは実際にお店に足を運ぶ、
実際に本を読むお客さんの視点を全く語らない。
これについて、インフォバーンの小林社長が突っ込みを入れていてすごく納得。
つーか、出版業界の人たちはお客様オリエンテッドな視点が欠けていて、
心のどこかでは、「今は売り上げは落ちているけどそのうち下げ止まる」とか、
電子ペーパーにしろまだまだ新しい技術は出てこない」とか、
そういったことを思ってるだろうな。
だから、出版業界がダメになるんだろうなーと感じる部分があった。


さらにびびったのは、「ユーザーの視点がないですよね?」みたいな突っ込みの後、
どちらの社長も全くその話題には触れなかったことですかね。
せっかく、ネタ振ってるのに…。
結局、ハードランディングな方法は取らず、
ソフトランディングな解決方法を求めているなぁという印象。
今日の講演タイトルの「根本を問い直すこと」はなさそうです。


そうすると、雑誌が売れない今日では
書店がズルズルと追い詰められていくだけというか。
(雑誌販売の利益が大きいらしいです。なるほど)
しょうがないっすね、自業自得。


ちなみに、今日の話の中で賛同できたのは
・コンテンツのクオリティを上げるプロデューサー・編集者の役割が重要
・書きたい意欲を持っている人が本を読むようにする仕組みづくり
といったところでしょうか。


あとは、小林社長が言っていた
全国どこの本屋も同じ品揃えだと居心地のよさぐらいしか追求しようがない
というのは納得。
だから、ブックファーストに行きたくなる。
座れるから。空間の感じが気持ちいいから。


委託販売の制度がなくなれば本屋ごとで
品揃えのカラーが出せるようになる可能性があるので、
面白いとは思うのですが。


とりあえず、聞きながらなんだかなぁと思った土曜日でした。