フェイスブックインパクト読みました。

フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略
高広伯彦 池田紀行 熊村剛輔 原裕 松本泰輔
宣伝会議
売り上げランキング: 1780

僕のtwitterのTL上でかなり話題になっていたのですぐ買って読んだのですが、
なかなかまとめることが出来ず今に至るという感じ。
僕の感想を一言言うと、
「書籍としては失敗、高広さんのFacebook評が読めたのはよかった」
という感じでした。


まず書籍としては失敗だなーという観点だと以下のような流れに
乗っかっているように見える人が多くの章を書いているように感じられるところ。

Web上の新しいサービスはある程度バブってることもあり次々と出てくる。
全部を書ききれるわけではないけれど、
ブログ、SNS(mixi)、youtube,セカンドライフtwitterグルーポン,Ustreamなどなど
「流行りもの」、「流行り言葉」っぽいものはいくらでも出てくる。
それらのものから「海外ではこんな使われるんですよ!」みたいな事例を出して、
お客さんをその気にさせ新しいサービスにお金を出させる。


次々と出てくる新しいサービスであっても、
英語圏であれば、それなりに多くの人数にアプローチ出来るわけで、
そういった海外の事例を参考に日本語圏でのキャンペーンをやっても上手くいかないことは多い。
(どういった観点で成功とするか、その指標自体ではありますが)
この流れで言うと、セカンドライフでの失敗はかなりでかく、
それ以降は「また何か新しいのでてきたの?」という感じであったように思う。
それでもtwitterFacebookを今度こそと薦めまくり、お金をゲットしていく企業の人達がいる。
すごく乱暴にそして大雑把にくくれば、
ソーシャルメディアコンサルタント」みたいな人たちがそうなのかもしれない。
この本で言えば普通に笑ったのはこの部分、

企業のマーケターが積極的に取り組むうえでの一定の基準値を超えたと判断するには十分だと感じている。
その理由には主に以下の3点である。
1.イノベーター、アーリーアダプターが、よりSNSツイッターを活用しアクティブな活動を行うようになった。
2.ミクシィと比べ、ユーザーの年齢層が高い。
3.大企業がフェイスブックページを立ち上げ、実績を上げ始めている。
フェイスブックインパクト、5章挑戦する国内企業、P180

またイノベーターとかアーリーアダプターとか言ってるのかよと思ったのと、
ミクシィと比べて年齢層が高いって、おい。。と、ぐったりとした後で、
何度見たかわからない無印良品の「成功事例」が紹介される。
アホほど紹介されている無印の事例ついても、
「そもそも成功しているのか?」ということについて、
先行事例であるために注目されたということを差し引いて、検討する必要があると思うのですが。。


ということで、この「海外の流行りもの」「海外の成功事例」みたいなものを使って
紹介していく章が全6章中、4章(1,2,4,5章)あり、
この本は数多ほど出ているフェイスブック本と対した違いがなく、失敗じゃないかなーと思いました。


じゃあ残りの章(3,6章)に関してはどうかというとこれは読む価値が十分あるのではと思いました。
3章では、ここまで書いた様々なWebサービスにお金を使ってきた現状を踏まえた上で
コンテンツを集合させるサービスとしてのフェイスブックという視点で紹介しており、
ミクシィとの違いもさらっと紹介されていてこれはよいなあと思いました。


そもそもフェイスブックマーケティングとして使う上で多くの人が知りたいところは
フェイスブックSNSでしょ?ミクシィとどう違うのよ?画面もtwitterみたいだし。」というところで、
それに対して、「フェイスブックは実名で、うんたらかんたら…」と返すと、
「いやいや、ミクシィも最初実名だったじゃん?でも駄目だったんだから流行らないんじゃない?」
となる。
「実名」とか「友人同士のつながり」以外に、積極的にフェイスブックを利用する理由が必要になり
これに応えているのが3章であるように思う。


では最後の6章はなんなのか?というところだと、この章についての感想があまりに書きにくい。
この章はそもそも「ソーシャル」とはなんなのか?というところから始まり、
企業がなぜ使うといいのか?という3章と同じような利用方法が記載され、
最後に日本の広告業界の発展のためにフェイスブックの普及が必要であると締める。


この6章を読み終わったあとに感じるのは、なぜこの章から始まる本が作れないのか?ということだった。
「ソーシャル」とはなんであるか、という提示を前提とした上で
フェイスブック以後の広告テクノロジーであったり、
その広告テクノロジーが普及するのか否かについて語っていくことが出来たはずで、
それこそが宣伝会議という会社でしか出せないフェイスブック本であるように思いました。
(それが売れるかどうかはまた別ですけどね…。)


ということで、自分としては3章と6章だけ宣伝会議本誌で掲載・連載すれば、
それでよかったんじゃね?という感じでした。
事例なんて今後もたくさん出てくるし、普及していないこの瞬間のスナップショットとして
事例紹介だけで2章も取る意味はちょっとわからなかったです。
が、マーケティングに関わるような方であればいくつかの章はかなり読む価値があるように思いました。