「ヒックとドラゴン」を見てきた!


TOHOシネマズ川崎にて3Dバージョンを見てきました。
http://www.hic-dragon.jp/
もう傑作すぎてびっくりしたのと同時に、
客がほとんど入ってない上に、もうすぐ終了ということなので最後の宣伝として書きたいと思います。
書いていてもよくまとまらないので、3つに分けて書きたいと思います。


1.3Dがすごい
あんまり3D映画見てないんでどの作品がすごくて、どれがダメとかきちんと言えるほどではないんですけど
(特にアリスインワンダーランド見てないのはどうなのかと思いますが)
久々に3Dで見るべき映画だなという感じでした。
具体的に言えば、後から3Dにしているわけではなく3D様の演出を最初からしているために、
うお!!ってなるシーンがところどころあります。
ドラゴンが飛んでいるシーンは気持ちいいところが多かったです。


2.ストーリーがいい
バイキングの息子ヒックがドラゴンのトゥースを飼いならし、
ヒックが住む村人たちとの対立を乗り越えて行くようなストーリー。
よくあるストーリーのプロットで僕が最近見た中だとアバターがこれに近いかなと思います。
ヒックとドラゴンを見た後だとアバターって何てクソな映画なのかとがっかりします。
アバターのダメなところはいくつかありますが、ひとつは主人公がThe Oneな設定であることや
(なぜか主人公がすごい力の持ち主でナヴィ族の格好で活躍しまくる)
なんで味方のアメリカ人を平気で殺しまくれるのかはかなり疑問だったりとか、
最後のクライマックスはそれでいいんかい!!とかツッコミどころ満載だったりします。


ヒックとドラゴンはこのあたりがきれいに解消されていて、
主人公は島で一番強いバイキングの息子でありながら、
全く強くなく、むしろその父がプレッシャーになっているような感じ。
なぜ、彼が映画内で活躍していいくか納得してみて行くことが出来る設計になっています。
当然ですが、彼とドラゴンが仲良くなる理由もフード理論で説明出来ます。
(生魚を無理矢理飲み込むことで、自らの弱点であった弱気な部分を勇気を持って乗り越えたいい描写だと思いました)
主人公のヒックがドラゴンに乗って自分の住んでいる島を滅ぼすとかいう話では当然なく、
アバターってざっくり言うとそういう話だしね、、、。)
バイキングとドラゴンの対立を父とは違う方法で解消していくという話だったりします。
この映画はたぶんアメリカの世代交代を描いたものだろうなと見たあとで思いました。
大人のバイキングが旧世代の人たちで戦争とかして悪いやつらみんな殺せばいいじゃんというスタンス。
で、ヒックたち子供がもっとちゃんとドラゴンと接すればそもそも悪い奴らではないし、
暴力で解決するとかよくないでしょというスタンス。
序盤は父世代が存在感を示していきますが、その後行き詰まった際にヒックたちが問題を解決し
父を乗り越えて行く(世代交代を果たす)というすっきりした話です。
ドラゴンという自分たちとは見た目も言葉も違う生き物だけれども、
誠意を持って接すればお互いいい関係を築けるよ!ということです。
ラストの父がヒックを抱きかかえてからのある動作に泣いてしまいましたよ。
あの辺も前半にちゃんと説明がさりげなくあってうまいなあと。


wikipediaを見ると、原作との変更点として

映画版ではヒックがドラゴン語を喋れる設定が無くなっていたり、バイキングたちとドラゴンが対立しているなど多くの変更点が見られる。
作者のクレシッダ・コーウェルは設定変更について、「原作の精神とメッセージは残されている」として肯定的な意見を述べている

と書かれておりこの辺はかなり理論武装しているのだろうなと思います。
この設定変更を補うためのストーリーテリングがかなりうまくいっているし、
この変更によって結論もすっきりしたなぁと思います。


3.という難しいテーマを感じさせないすっきりとした物語
と、いろいろ難しいテーマを扱ってはいるんですが、といってもアニメだし子ども用映画って部分もあります。
なのでそういうこと全く考えなくても普通にかなり楽しめます。
トゥースの飼いならされて行く感じとかペットの感じに近くてかわいいなーとか、
ラストのアクションシーンとかドラゴンの飛ぶシーンとかはかなりスカッとして気持ちいいです。



と、いろいろ書いてみたのですが、
改めて思ったのは911からイラク戦争までの一連の出来事がアメリカに与えたダメージというのは
僕には計り知れないほど大きかったのだなと思いました。
今年だけでもグリーンゾーン、ハートロッカーがイラク戦争中、後の話だし、
アバターも当然その出来事が背景にあるし、ゼロ年代の傑作ダークナイトもその出来事は下敷きにある。
それに比べると、日本にはその出来事はそんなことあったなと思っても、
実感もなければ、思想を変えるほどの出来事ではなかった。
これは今後出てくる作品群のバックボーンが大きく変わってくることを意味すると思う。
日本はそういったインパクトのある出来事があるわけではなく、
なんかダラダラと死んでいく感じではあるだけども。
その感じを映像にする人がいたら感動するなあと思いました。
(見ていない映画でケンタとジュンとカヨちゃんの国がそんな感じなイメージがありますけども)