祝復活!「電波少年2010」!!Tプロデューサーの野望を考える。

新企画「人はツブヤキだけで生きていけるか?」は、有吉と「Tプロデューサー」こと土屋敏男第2日本テレビVOD事業部長の対決。トヨタのハイトワゴン・カローラルミオンとコラボレーションし、レース形式で日本を縦断し、約2カ月の期限で因縁の勝負を繰り広げる。最大の特徴は両者がTwitterをはじめとするリアルタイム性の高いコミュニケーションツールを駆使して、視聴者を巻き込みながらレースを進めるところ。有吉も土屋プロデューサーも本業が忙しいため、実際の車の運転は若手芸人の「ぐりんぴーす」と「ライフライン」が担当する。
http://natalie.mu/owarai/news/show/id/26785

電波少年復活おめでとうございます!!
他のテレビ局が情報番組(?)の中でtwitterの特集を組んで、
「何ですか?それは?」とボケて「どうせまたすぐ終わるでしょ。ハハハ。」みたいなノリで終わっている中、
スポンサーも見つけて、企画も練って、記者会見までやってスタートというものすごいスピード感。
Tプロデューサーには驚くばかりです。。
http://www.denpa2010.jp/index.html


今まで第2日本テレビで行なわれていた実験で貯めてきた経験を生かした企画なのではないかと思います。
我が家に、ライターの小寺さんと今話題のゆるふわメディアジャーナリスト津田さんが書いた「Content's Future」という本がありましたので、この本と

CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ (NT2X)
小寺 信良 津田 大介
翔泳社
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ひろゆきと土屋さんの対談が載っている「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」

の2冊を元にどんな経験が生かされているのか読みといていこうと思います。

■今、日本横断がウケる可能性

僕は猿岩石のときには夜は9時までに寝なければいけないという生活環境だったので見ることが出来ず、
あひるの足こぎボートでどこかを横断する企画とかなすびの企画から見てました。
その当時でも気になったのは、ダイジェストで送られてしまう部分にものすごい量のビデオ(映像素材)があって、
チャレンジしている芸人さんは本当に大変なんだろうなということでした。
厳選して15分とかで流すから面白いというのもあるとは思いますが、
やっぱり編集していないところでは何しているんだろうというのは気になっていました。
この辺りのことは第2日本テレビでは既にチャレンジが行なわれていたようで…

土屋 逆にいうと、僕はテレビをやっていたから、テレビで今できなくなっていることって何だろう?っていう疑問があって、それへの答えが松本のコントであり、リアルタイムドキュメンタリーであるわけです。
津田 テレビじゃできないこと、という部分が必然的にアイデア重視のコンテンツ制作につながっているということですね。
土屋 トピックとしては、Zassaを出した6月、それから8月の24時間テレビが大きかった。24時間テレビは、要するに「アンガールズの2人が本当に走っているのか?」っていう(笑)素朴な疑問に対して、放送ではどうしても限界があるから、ネットにどんどんどんどん適宜映像をアップして行ったので、記録的な再生回数をその日に計測しましたね。
コンテンツ・フューチャー、2007、p16

土屋 でも例えば今、吉本興業間寛平さんが世界中をマラソンする『アースマラソン』という企画を立ち上げて、寛平さんが走っている動画、写真、テキストをブログにアップしたりしてますよ。これは広告モデルなんだけど、僕が今一番ネットのなかで可能性があると感じている。
西村 ほお。そうなんですか。
土屋 ネットには、日々なんかこう変わっていく楽しさとインターナショナルな交流があるじゃないですか。例えば、アメリカを走っている寛平さんの姿をブログで見た在米日本人が、差し入れをしてくれたりなんていうリアルな交流もあるし、ブログのコメントがいつのまにか何百件とかになってそれを読む寛平さんが元気づけられたりとか。
僕が2ちゃんねるを捨てた理由、2009、p155

僕らはあるある大辞典事件など様々な経験を経て、
テレビを見たときに「これってもしかしたらヤラセかも?」「これって本当かな?」と疑うフィルターを身につけてきた。
だから、このフィルターをなくす仕掛けを盛り込めばもっとそのコンテンツに入り込むことが出来るのではと思う。
その実験を2006年の24時間テレビで行い満足いく結果を得ているわけで、
ネットを使った企画ではリアルタイムで状況がわかるものがあったほうがいいという結論になったのではと思うのです。
今回はその名の通り、リアルタイムウェブというジャンルで呼ばれるtwitterを使い、さらにUstreamも使う予定ということなので
ドキュメントとしての電波少年をリアルタイムで存分に楽しめるのではと思っています。

■マネタイズとパトロン

とはいえ、twitterという新しいサービスが出たからこれ使ってみようでは企画が通ることもないと思うので
違うところにハードルがあると思います。
第2日本テレビに関して以下のような話がありました。

小寺 そういった「ネットを使った壮大な実験場」のような形で第2日本テレビがあるわけですけれど、結局どうなればせいこうなんでしょうか?
土屋 ええと、だから支出と収入の……。
小寺 あ、やっぱり?(笑)
土屋 これはやっぱりねぇ、そうですよ(笑)。表現だ表現だって片方で言いながらなんですが、黒字にならない、ビジネスにならないものって長続きしないですよね。きちんと収入支出のバランスが取れていないと、表現としての持続性を持たないし、そういうモデルはやっぱりないと思います。
コンテンツ・フューチャー、2007、p19

Tプロデューサーもボランティアでやっているわけではないので、ネットでコンテンツを配信してマネタイズすることに全力でチャレンジしている方です。

土屋 ただ、各テレビ局の経営が厳しくなっているのは明らかなんで、そのなかで「儲からないものをいつまでもやってんなよ」っていう風当たりがあるのも確か(笑)。他局さんとかがネット向けのコンテンツを作らない、そのリスクテイクしないのもわからなくはない。
僕が2ちゃんねるを捨てた理由、2009、p163

で、今回はTOYOTAさんがスポンサーとなって移動手段とてカローラルミオンの提供とたぶん金銭面も出しているのではと思います。
http://toyota.jp/corollarumion/index.html
トヨタといえば、昨年こんなニュースが出たばかりの会社です。

時事通信は8月30日、【トヨタ自動車(7203)】が2009年3月期(2008年4月〜2009年3月)において、新聞やテレビなどのマスメディア向け広告・宣伝費を、前期比で3割弱削減することが明らかになったと伝えた。同記事では自動車大手他社も絞込みを始めていると伝えている(【該当記事】)。今件についてトヨタ自動車側からは何の発表もない。
元記事によると、情報ソースを明らかにしていないものの、
・「新聞やテレビなどの」マスメディア向け広告・宣伝費を前期比で3割弱削減
・経費削減の一環
・今期の連結営業利益を前年比29.5%の減益と予想しているのが遠因
と説明している。ちなみに【直近四半期の決算発表(PDF)】によれば、売上4.9%減・営業利益29.5%減・純利益27.2%減を予想しており、主事業における経費の増大が見込まれている計算となる。
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/08/3_103.html

今でも十分CMは多いですが、容易に広告費を引き出せるような会社ではなくなったのは確かなわけで
どんなプレゼンが行なわれたのか見てみたいなと全然違う方向の興味が出てくるところです。
とはいえ、土屋さんは「コンテンツ・フューチャー」の中で以下のような発言もしています。

土屋 僕が思うのは、モノを作るシステムって、基本的にはパトロンが必要なんですよ。クリエイターが食うに困らないようパトロンが援助して、音楽だったら室内楽みたいなものが発展したりした。文化みたいなモノは、パトロンシステムでしか生まれてこないんじゃないかって思ったりしています。
コンテンツ・フューチャー、2007、p24

なので、この企画でいくらぐらいお金が出ているかはわからないけれどネット独自コンテンツに対するパトロン的な意味合いが強いのかなと思ったりもしています。

■この企画のオチは?

とはいえ、僕らは電波少年を既に体験していてましてや既に移動手段を持っているバージョンのチャレンジなんて
過去のチャレンジと比べれば難易度は低いしハラハラ度も少ないのではないかと思う。
たぶん、この企画を通じて僕らはtwitterで芸人が救われるところをTLで見てホロッとしたりするとは思う。
でもそんなもので満足出来るのか??
僕が思うにオチはこれだと思う。

西村 ということは、土屋さんは、もう日本を舞台にする必要はないですよね。
土屋 うん。ネットの特性も本来はそうだよね。だから『アースマラソン』でも、アメリカを走っている間はアメリカの中古車屋とかがCMを出してくれればいいな、とか思っているんだけど、なかなか難しくて。
西村 じゃあ、仮にアメリカで『アースマラソンin USA』が成功したら、アメリカでビジネスをするってこともアリなんですか?それともやっぱり日本で働きたいという感じなんですか?
土屋 うーん…。アメリカで働ければいいですよね。
僕が2ちゃんねるを捨てた理由、2009、p172

約2カ月間の勝負後、対決に勝った方は負けた方に好きなことを要求できる。この日の会見では土屋プロデューサーと有吉がお互いに要求を決め、有吉が勝った場合は「土屋プロデューサーが土下座して謝罪」、土屋プロデューサーが勝った場合は、「有吉が14年前の香港からロンドンまでのユーラシア大陸横断ヒッチハイクの“復路”に行く」ということが決められた。
http://natalie.mu/owarai/news/show/id/26785

正直なところ、有吉の芸人の寿命は今年がギリギリなんじゃないかと思う。
(あんまりテレビとか見ないので素人目線ですが。アメトークとかでも自虐的に出てたしね)
つまり、今回の勝負に負ける→有吉「電波少年2011 ユーラシア大陸横断ヒッチハイク復路の旅」で
ネットでのグローバルなコンテンツ配信と広告収入を狙っているのではないかと思うのです。
いやー、やっぱTプロデューサーすげぇわ。


で、電波少年2010ですがバイト先への連絡どうしよう…みたいなものからtwitterの使い方がわからないみたいなグダグダした展開からか、
最初の目的地が仙台から宇都宮に変更されてました。
このスピード感がいいですね!
確かに今日明日中に一度目的地に着かないと興味が維持されないかも…。


twitterアカウントは以下の通り。
・土屋プロデューサー @TP_boss
・チームT @TP_rumion
有吉弘行 @AH_boss
・チーム有吉 @AH_rumion
・チームTのリスト @denpa2010/tp-team
・有吉チームのリスト @denpa2010/ah-team
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