アル・ライズ,ローラ・ライズ「マーケティング脳 vs マネジメント脳」

ポジショニングで有名なアル・ライズの現段階では一番新しい本。
マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?
マーケティングかじっている身としては読まねばと思い、図書館で借りてきました。


この人は本当に言っていることに一貫性があるというか、
ポジショニング戦略で書かれていたことの線上で本を書き続けている人だなぁと思う。
ポジショニング戦略[新版]
ひとつの企業、ブランド、カテゴリーに関して複数のイメージを人間は持てないというところから、
ポジショニング戦略はスタートしている。

アップルはよりよいハードウェア、よりよいOS、よりよいソフトウェアを持ちながら、世界市場の約5%しか獲得できていない。
ハインツのケチャップに対抗するには、どうするべきか?よりよいケチャップを開発すればいいのか?
タバスコのペッパーソースに対抗するには、どうするべきか?もっとおいしいペッパーソースを開発すればいいのか?
(p43-44)

PCのOSではwindowsというイメージを多くの人が持っているのでwindowsマシーンのほうが売れる。
ただし、アートやらデザインの分野ではアップルというイメージがあるためか、
その手の人たちはみんな使ってますけどね。これもポジショニング。
日本だと、カゴメがハインツよりも先にポジショニングでトップを奪ってしまったので逆転するのは難しい。
この事実だけでも、いい製品が大事なのではなく先にそのポジションを奪ったほうが有利なのがよくわかりますけども。


この本ではそういったポジショニング、マーケティングの思想が
マネジメント側にいかに破壊されていき失敗しているかという事例をてんこ盛りにしたような本になっています。
この本でもう飽きたよと思うほど言われるのは「いい製品だからといって売れるわけではない。マーケティング大事!」ということ。
マネジメント側の「いい製品を作れば売れる思考」を一瞬で打ち砕く文章があって面白い。

『オートモーティヴ・ニュース』誌の「肝心なのは商品だ」という主張も、次のように論を展開することで循環論法になっている。「全国の販売店ショールームにおいて、商品が客の心をつかめるかどうかで、勝敗は決まる。勝敗を決めるのは、商品だけだ」
これは次のように翻訳できる。「よりよい商品が勝つ。では、どれがよりよい商品かはどう判断したらいいのか?勝った商品がよりよい商品だ」
(p63)

インターネット検索時代では「どれがよりよい商品か」を調べることが出来るような気もするんだけれども、
人それぞれ評価点、納得する点は違うので、結局「勝った商品=よりよい商品」としか言えないのかもなぁと思いました。


ものすごく技術的なイノベーションが売れる商品を生み出すわけではないことはiPodが証明してしまったわけで、
そういったお説教をくどくどとしているような本であると感じました。いや、面白いですけどね。
「ポジショニング戦略」を読んだことがある方は「またこの話か笑」みたいな感じになると思いますが、
読んだこと無い方は最新事例がそろっているという意味でもアル・ライズ入門書としてアリかもなと思いました。

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?
アル・ライズ ローラ・ライズ
翔泳社
売り上げランキング: 55796
おすすめ度の平均: 3.5
5 ブランドマーケティングは1日にしてならず
1 結局、読者に何を伝えたいのかが分からない
1 今更解かりきった内容で、退屈
5 シンプルで面白い
4 この本をおもしろく読むためには、、、