中村伊知哉、石戸奈々子「デジタルサイネージ革命」

サイネージ広告媒体協議会なるものが出来たりと、
http://www.signage-admedia.jp/index.html
改めてデジタルサイネージ周りが注目されているので復習も兼ねて読んでみました。
デジタルサイネージ革命
日々、注目している身からすると復習本だなぁという印象でした。


とにかく充実しているのは事例の多さ。
国内だけでも11のシチュエーションでの導入事例が細かく書かれていて、
資料としてもかなり役立ちそうな気がします。
一番有名どころのデジタルサイネージトレインチャンネルなど)の価格も書いてあるのが
参考になってよいです。
聞いた話ではトレインチャンネルは本当に人気で予約がかなり先まで埋まっている上に、
単発で購入するのはかなり難しいので試しに使ってみるというのが難しいとのことでした。


まずは広告総額費7兆円と販促費の13億円のうちでどれぐらい取れるかという話になるっぽいが
国内ではどう頑張っても5〜10兆円ぐらいの規模になればいいんじゃない?という市場で
これを奪い合ってもかなり企業としては厳しいのではないかなと思う。
厳しいのはハードウェアの提供企業だろうなと。
逆に潤うのはサイネージを置く店舗やらスペースやら。
大日本印刷は子会社の丸善でサイネージを置き始めている。
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2009/090417.html
書店はほんとどうしようもないぐらい利益率が悪いわけで、
サイネージを置いて広告収入が得られるのであれば相当に助かると思います。
その他、エリアでのプロモーションということを考えると、
マクドナルドであったりあらゆるところがメディアになる可能性があるわけで、
細かいお金を稼ぐのは可能になりそうな気がします。


広告会社のプランナーとかは逆にもうこれ以上細かく出来ないよというところまで
来てしまったような気がします。
だって、いちいちサイネージがあるかないかチェックしてプランニング出来ないだろうし
そうするとどのエリアにも確実に存在する場所というのはかなりメディアとして強くなるような。


考察があまり深まらないのでまとめていくと、
本来効果を発揮するネット環境にアクセスできるサイネージが流通するのはもう少し先になりそうだし、
(その前にただのディスプレイが流通してしまうと交換に大変なコストがかかってしまうような)
電波法などの法律もまだまだ足枷になっているようだし、
広告効果の測定もなかなか難しいと正直問題は山積み。
可能性の割に、その期待値の半分ぐらいのものが流通し過ぎていて、
ガッカリみたいなことになっている気がしてならないのですがどうなんですか?
毎週末行く横浜駅でも柱にデジタルサイネージがついているけど、
この程度の映像なら別にポスターでいいんじゃ…みたいなのが多いし。
ということで、ワクワクする市場ではあるのですが心配でもある。
そんなデジタルサイネージ市場の基本から導入事例を学ぶためのわかりやすい本です。

デジタルサイネージ革命
中村 伊知哉 石戸 奈々子
朝日新聞出版
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