上阪徹「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」
新書ってこともあって、周りが盛り上がっていてもなんかしっくりこなかったんだけれども
先日ブックオフで見つけたので購入。
amazonのレビューに、上場直後の宣伝でしょって書いてあったけど、
たとえ宣伝であったとしても買って読んでよかったと思いました。
正直なことを言えば、クックパッドは名前こそ昔から知っていても、
ほとんど料理もしない自分にとってはそこまで注意してみるべきサイトでなかったので
全く見たことがないくらいの感じでした。
また、見たときもなんかしょぼい(失礼)サイトだなぁぐらいにしか思っていなかった。
そのデザインの背景にある思想、デザインよりももっと重視されている思想、
サービスを運営していく上での「思想」を感じることが出来るいい本だと思う。
宣伝宣伝言うけど、これだけの宣伝が作れるサイトってそんなにないと思うよ??
広告・宣伝に興味がある自分としては刺さったのはこの2つの部分。
「消費者心理を理解するのは、とても難しいことですが、そこに挑み続けなければならないと考えています。逆にいえば、やっぱり世の中の商品情報には、伝えきれていないことがたくさんあると思うんです。その商品を使えばどう楽しくなるのか。何が快適になるのか。それをじかに試してもらう機会があるからこそ、クックパッドは広告の場としても魅力を得ているのだと思っています。でも、もっともっと自然な形を模索したい。」(p144)
さっき、クックパッドを見たらコンテストと映画の広告がセットになっていて、
これが自然な形??と思ったのはさておき、まだまだ広告進化出来るじゃんと思います。
クックパッドが強いのは、流通に影響を与えられるところだと思います。
ものが売れたか売れないか判定しやすい広告は今の時代、かなり強い。
あと、もう一箇所。
「本当の広告効果とは何か。それを考えなければいけなくなっている、ということだと思います。広告の送り手側も、受け手側も、双方にとってプラスになるマッチングがこれからは問われてくると僕は考えています。実際、マッチングの率が高まっていく中で、広告の受け手はますます自分に合った情報にシビアになっていくのではないでしょうか。」(p146)
この本読むと、売上に貢献する広告ってマジでありえるんじゃないかと真剣に思ってしまう。
いや、ECとかそういうのは別にして広告を見て、
その商品をお店で買ってという行動まで促す広告ってほとんど存在しない。
ただ、これを見るとメディアと広告がそれぞれ別々に自分たちのやりたいことをやっている限り
無理なんじゃないのかなと思ったりした。
クックパッドの広告って、広告主がクックパッドに譲歩して受け入れることによって
クックパッドのユーザーの心に入り込むことに成功している。
テレビのCMとかが効かなくなっているのは、
CMをのせる番組とCMが驚くべきほどマッチしてなかったりするからかなぁ、
と当たり前のことを今さら思ったりした。
テレビCMも流したい放送枠別に何パターンも必要なのかも。あったら面白そうだけど。
ということで、広告視点から読んでも大変面白かったですが
WEBサービスに関わっている人々にとっては必読の一冊なんじゃないかなと思います。
心を込めてモノを作るっていいっすね。やりたい。