マルコム・グラッドウェル 「天才! 成功する人々の法則」

楽しみにしてた、マルコム・グラッドウェルの新作「天才! 成功する人々の法則」読みました。
天才!  成功する人々の法則
原作のタイトルは「アウトライアーズ」で、決して天才という訳し方はいいのかはわからず。
明らかに釣り的なタイトル、かつ検索で引っかかりにくいわけだし。


で、この本も今までと変わらず総論から各論へと進んでいく、
グラッドウェルの文章のスタイルは変わらず、「天才」はどうやって生まれるかから
文化が人に与える影響というところに流れていく。
この本で改めて導かれるのは、「いつまでにひとつの分野で1万時間経験を積むことが出来るか」
という命題であるように思う。これが早ければ早いほど天才と呼ばれるだろうし、
これに達しないといつまでも結果は出にくいということのように思う。
たぶんお仕事も1万時間経験するのが早いほど、開花するのが早くなるのかなと思ったり。
うちの会社は新人のうちは社内での仕事が定時で帰されるのでそこは家で補うしかないっすね。


そして、この本のいいなと思うところは巷に溢れている、成功者による成功法則みたいな本を
全て切り捨てることが出来ることだと思う。
この本を読んだ後で言えるのは、
その成功者と同じとき同じ条件で同じ行動をすれば成功するに違いないけれども、
生まれた年代も、生まれた場所も文化も違えばそこまで参考にならないということだと思う。
ここにはちょっとした条件の違いで成功しなかった事例が数多く紹介されている。
過去の経験から学ぶことは大事だと思うが、
所詮それは過去のその瞬間を切り抜けるためのアイデアではないかと思う。
「天才」というのは、数々の奇跡のような巡り会わせでしか誕生しないのかもしれない。


だから、俺はこんなに努力しているのに成功しないとかって責めるのは、
なんだか無駄な時間なんじゃないかと思う。
その前に1万時間に達する努力が必要ということなのだと思う。


それにしても1日8時間使っても4年弱もかかるとなると好きなこと以外では1万時間は厳しい。
大学生活というのは、社会に出る前にこの1万時間の習得、
もしくは習得直前まで達することが出来る最初のチャンスなのではないかと思う。


はまるとガッとなるけれども、非常に飽きっぽい自分としては
何で1万時間経験を積むことが出来るかというのは非常に難しい話です。
今はこれといって見当たらないなぁ。


ということで、ここまで3作出ているグラッドウェルの本の中では一番好きかなと思う。
次点は「ティッピング・ポイント」。「第1感」は実はそこまで好きではない。
ということで、勝間さんが訳だからって拒絶反応を示さずに読むと、
非常に救われる気持ちになる本です。
とはいえ、前に進むための答えは用意されていないけれどもね。

天才!  成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
売り上げランキング: 18
おすすめ度の平均: 3.5
2 仮説集でしょう
5 成功要因=成功者自身の周辺環境や時代背景が幾つか重なった結果...[2009/3/1原書review]
3 フェアプレイでいこう!