関橋英作「ブランド再生工場―間違いだらけのブランディングを正す」
去年の7月ごろに発売したときから読みたいなぁと思っていた本ですが、
ようやくゲットして一気に読んでしまいました。
著者の関橋さんはあとがきに、
ご存知かもしれませんが、ブランド再生に関する書籍はあまり見当たりません。ブランディングの本は星の数ほどあるのに。驚きでした。
だったら、自分で書いてみよう。例によって、反逆新がムクムクと。幸い、キットカットという強い味方がいましたから。(p190)
と書いています。
この一文がこの本のあらすじをまとめていて、
・イチからブランドを立ち上げてそのブランドを定着させる方法について書かれた本ではない
(ブランディングに関しても十分学ぶことが出来る)
・今ある既存の商品を今の時代に合わせて、どのように再ポジショニング(ブランディング)するか
・そのリーディングケースがキットカットのブランディングの案件
という話がメインになっています。
僕が読んでいてそうなんだーと気になったのはこの部分でした。
キットカットの仕事をしていて、今までと違うことが、マーケティングの4P(Product,Price,Place,Promotion)を意識したこと。広告の仕事は、そのなかのPromotionだけを扱っていましたから、勝手が違いました。
この仕事をしてから、我が工場のやり方も大きく変化。川下だけでなく、川上のことにも注意をはらうようになったのです。(p137-138)
こういった言葉を平気で言って大丈夫ってのが結構驚きだなぁと。
この本でもAbove The LineとBelow The Lineの話が出てるけれども、
この言葉通りなんか偉いのはマスメディアに流す広告みたいな感じで、
どういった媒体(メディア)で宣伝するかなんて考えられてこなかったんだなぁと思いました。
日本の広告代理店がどういった変化をするのかすごく注目はしている。
今は本当に時代の変わり目にいて、僕自身は昔のことを知らないが故に
「変わらないと!」みたいな無邪気な発言が出来るのだなと改めて感じた。
キットカットの事例を読めば、ここまでしなければブランドの再生は難しいということがわかる。
それはテレビCMを大量に打つだけでは出来ないし、
ただ受験のお守りに使ってもらうというアイデアだけあってもうまくいかない。
もちろん、消費者インサイトを探っていった末のビックアイデアがあることは前提で、
そのビックアイデアをどのような宣伝手法を使ってターゲットに広めることが出来るのか、
その細部まで練りこんであったであろうプランを見ることで改めて柔軟な考えが必要だなと感じる。
新書ということで読みやすく、ブランディングとコミュニケーションデザインの一歩目として、
わかりやすい本だと思います。