ニューヨークADC展でブラビアのキャンペーン「COLOR TOKYO!」の話を聞いてきた

今週の火曜日のことですが、クリエイションギャラリーにて
ニューヨークADC展とそれに関連するクリエイティブサロンを聞いてきました。

http://rcc.recruit.co.jp/g8/exhibition/g8_ex_current/g8_ex_current.html
今回のゲストは第87回のADCのインタラクティブ部門で金賞を受賞した
ソニーブラビアのキャンペーン「COLOR TOKYO! − LIVE COLOR WALL PROJECT」を制作した
777interactiveの益田準也さんとSEMITRANSPARENT DESIGNの田中良治さんと菅井俊之さん。
それと審査員を務めた777interactiveの福田敏也の4人でした。


まず、今回のADCのインタラクティブ部門での審査の方向性の話があってこれが興味深い話でした。
この部門で金賞を取ったのが777interactiveの「COLOR TOKYO!」と
Goodby, Silverstein & Partnersの「MILK GET THE GLASS GAME」の2つ。

(画像はhttp://www.adcglobal.org/awards/viewer/?id=87IA180&yr=2008&sh=annualより)
審査の方向としては、深いアート性と新しい手法の2つがせめぎ合うような感じになっていると。
深いアート性を備えているのが「MILK GET THE GLASS GAME」で、
新しいメディアを作って新しい表現ですごい!ってのが「COLOR TOKYO!」と
この2つの審査軸で優れているものがそれぞれ受賞に至ったという感じのようです。
メディアを解釈する中での新しさみたいなものがないと、
かなり作りこんだサイト以外金賞の受賞は難しいのだなという印象を受けました。
ただ、それが広告の機能として必要なのかと言えば個人的には違うなぁと思うのですが。


話のメインは金賞を取ったブラビアのキャンペーンの話でした。

(画像はhttp://www.adcglobal.org/awards/viewer/?id=87IA165&yr=2008&sh=annualより)
これは銀座にあるソニービルとウェブを連動させたキャンペーンで
ウェブで選んだ色にソニービルが光るというもの。
僕が文字にするとだいぶ陳腐な感じになりますが、(当たり前ですが)かなりすごいです。


イデア的な部分でいえば、ウェブとソニービルを連動させるってどうやったら思いつくの??だし、
技術的な部分でいえば、同じくウェブとソニービルの連動ってどうやるの??ということで
分からないことだらけのキャンペーンです。


まず、アイデア的な部分としては
ソニーからの要望としてブラビアの魅力である「Live Color」と「webのキャンペーン」があった
・webでかなり時間をかけてアイデアを出したものの、「Live Color」を伝えきれない
ソニービルが使えたらいいね+表参道のアカリウムでの経験
・いろいろ付随するアイデアも考えたものの、
ウェブで選んだ色にビルが光るのを体験するというシンプルなものでいくことに決める。
といった感じでしょうか。


技術的な部分はあまり詳しく話はなかったけれど、
・前例がないものだから出来るかわからない
・とりあえず、出来ると仮定して進めている
・ただ、出来なかったときのリスクはクライアントと共有
という感じでした。


ビルの色を変えるための「色」をどのような映像から取るか悩んだそうですが、
最終的に決め手になったのはBRAVIAのCMだったというのがすごいなぁと思いました。

ブラビアのCMは今見るとすごく色にこだわっているんだなと思いました。
これもすごい。

今までのブラビアのCMで「色」を打ち出していたのでこのCMを画面の左端に流して、
そのCMから色を採取してもらうというキャンペーンに落ち着いたそうです。


聞いていて思ったのは、
ひとつは商品のブランド力みたいなものはジワジワと効いてくるものだなと思った。
今までのCMがなかったら、今回のキャンペーンももう少し違った形になったのだろう。
そのときに「COLOR TOKYO!」よりも素晴らしいキャンペーンが作れただろうか?
もちろん、どちらともいえないけれど出来なかったんじゃないかなと思うことは出来る。
CMひとつで購入というのは難しいのかもしれないけれど、
ブラビアというブランドのイメージは着々と僕らに根付いているのかもしれない。
(もちろん、どこかのタイミングで売れなければブランドそのものがなくなってしまうけれども)


もうひとつは、制約というものがクリエイティブに与える影響について考えた。
ブラビアは赤色がとてもキレイに映るテレビだからこそ、
「Live Color」というコンセプトをソニーの側が要望として出した。
このある意味制約といえる条件を徹底的に突き詰めていった結果生まれたのが、
今回のキャンペーンだと考えると制約がクリエイティブに与える影響はとても大きいと思った。
商品の魅力を一から洗い出してというのも可能だと思うけれど、
あらかじめ制約があることでも面白いキャンペーンは可能だということを示したと思う。


もう少し詳しく聞きたかったのはwebのみのキャンペーンから、
ソニービルも活用したキャンペーンに変化したときの思考であったりアイデア
もしくはその「錬金術」みたいな瞬間がどんなものだったのかについてかな。
金賞になるようなキャンペーンの核となるアイデアはどんな風に生まれるのか聞きたかったなぁ。
とはいえ、とても今日深い話が聞けた1時間半だった。
福田さんの司会っぷりがすごかったです。