ネットに賛否両論がない→マスメディアの再生が必要は短絡的すぎ

民主主義が貫徹されるためには、どんな事象についても賛否両論が健全に展開されるべきです。そのためには、トーマス・ジェファーソンの言葉からも明らかなようにジャーナリズムが重要な役割を果たすのです。ところが、“かんぽの宿”から明らかになったのは、日本のネット上は同じような一面的な評論とその安直な引用ばかり、情報のゴミ溜めとなっており、今のままではマスメディアに代わってジャーナリズムを支え、民主主義を強化する器にはなり得ないということです。スキャンダルやゴシップの集積場でしかないのです。
http://diamond.jp/series/kishi/10027/?page=2

私は、マスメディアの再生のためには、古くなったマスメディアのビジネスモデルの進化が不可欠だと主張してきました。しかし、今やそれだけでは不十分と言わざるを得ません。同時に、民主主義を支える公器としてマスメディア自身が今一度ジャーナリズムを強化することも必要ではないでしょうか。ある意味、ネットの世論の堕落は、ワイドショーを中心としたマスメディアの報道の堕落を反映しているかもしれないからです。マスメディアが一層しっかりとして、ネットにも良い影響をもたらさなければならないのです。
http://diamond.jp/series/kishi/10027/?page=3

ダイアモンド・オンラインで連載している岸博幸さんの記事
「「かんぽの宿」騒動で分かった!賛否両論なき日本のネットはゴミの山」が気になったのでピック。
要約すれば、ネットではある事柄について賛否両論の意見が出てこない。
民主主義が強化されるには賛否両論の意見が必要である。
賛否両論の意見が出ないのはネットにジャーナリズムがないからで、
ジャーナリズムを支えるためにマスメディアの再生が必要。
という感じだと思います。


でも、この流れで見ていく限りもっと議論できるようなテーマはあるように思うのです。


1.なぜ、賛否両論の意見が出ないのか?
これをネットはゴミだからで一蹴するのはどうなのかなと思う。
個人的にはマスメディアですら賛否両論の意見なんて出ていないように思う。
僕が今まで見た限り、「かんぽの宿」ネタで賛成していたのはホリエモンがいたような。
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10199001291.html
で、反対しているのは基本的には小泉売国陰謀論者の人たちで、
植草一秀さんとかhttp://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-d135.html


で、見て分かるとおり基本的にはマスメディアに黙殺されているような人たちしか
(堀江さんは取材を断ったりしているのかもしれないけれど)
ネットで自分たちの主張をしていないわけで。
とりあえず言えるのはネットが民主的かうんぬんの前にある程度力を持っている人たちが
(主にマスメディアに登場するような人たち。)
ネットでの主張に加わっていないことがでかいと思う。
マスメディアでは黙殺されるような意見を主張している人が主張していて、
マスメディアの人たちがネットに参加してこない。
ひとつの問題はここにあるように思います。


今がネットの究極の状態なら、ネットってやっぱりゴミだねでもいいと思うのですが、
まだまだこれからでしょ。
であるならば、今はネットとマスメディアの情報を併せてみたら賛否両論の意見が揃うかもね
ぐらいでいいように思います。


2.検索エンジンの問題
これはちょっと技術的に可能かどうかわからない話。
現状のGoogle検索エンジンだとリンク数によるページランクで上位の表示が決まるので、
ネットで有名な人たちがみんな反対すると、検索画面は反対だらけになっているように見える。
でも、それこそそこまでアクセスはないけどブログを書いている人たちは実は賛成なのかもしれない。
そういったことが現状の検索エンジンではわからない。
だから、ネットに民主主義的なものを持ち込むならば賛否であったり折衷案みたいなものを
検索できるようなシステムが必要ですねって考えもあっていいように思う。


技術で何とかできる部分は技術で何とかしましょうよという話。


3.再生が必要なのはジャーナリズムで、マスメディアではないだろう話
岸さんの意見を読んでいて思うのは別にマスメディアの再生はそこまで重要ではなく、
(従来の岸さんの意見を強めるために無理矢理話題にしている感じがすごくする。)
ジャーナリズムそのものの再生であったり、確立の話だと思う。


単純に人員がうまく分配されていないことと、記者クラブの問題がでかいと思うのだけど。
新聞社も財政が厳しくなれば、記者をある程度切らざるを得なくなると思う。
他のマスメディアもそういったことになるように思う。
そのときにマスメディアで勤務していた人たちが他のメディアに移るといったことが起こるはず。
(解雇で諦めて、他業種に転職とかなったら…。まぁそれはそれでって感じで)
そのときにアメリカで起きているような、ネットに新しいメディアを作って運営していく
みたいな流れになることで多様な意見が出てくるようになると思う。
そのときに問題になるのは記者クラブの問題になるように思うけれど、
こればっかりはもう何も言えない…って感じなので、上杉隆さんの「ジャーナリズム崩壊」を読んでください。

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2 やや書きなぐり
3 閉鎖的な日本の記者クラブ
4 「中の人」だった人が書いたマスメディアの現実
4 具体的で、読みやすい
4 よくできた本


と、書いてみたところで1と3は似たような結論の話だなと思ったり。
経緯は違うけどね。
1は現在勤務中の人でもブログとか書き始めればいろいろ状況は変わるでしょって話。
3は人員削減の中で切られた人たちがネットに新しいジャーナリズムメディアを立ち上げたりすれば
流れが変わるんじゃないのかなという話。
どちらにせよ、ネットがゴミだからやっぱりマスメディアという単純な話ではないと思う。