マッテオ モッテルリーニ 「経済は感情で動く はじめての行動経済学」

4月までに勉強しておきたいなと思うことに行動経済学があったりする。
というのは「心脳マーケティング」という本を読んで以来、
心理学とか脳科学からのマーケティングへのアプローチというのは面白いなと感じたから。
心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press


これだけでは説明不足なのでさらに言葉を足していくと、
今までの経済学というのは「経済は感情で動く」の本に出てくる言葉でいうと、
ホモ・エコノミクス」と呼ばれるような人たち動くという想定で考えられている。
ホモ・エコノミクスとは

自己の経済利益を極大化することを唯一の行動基準として行動する人間の類型。標準的な経済学の理論の前提となるが、非現実的な存在。次の3つの特徴でまとめられる。
1.超合理的:自らの効用を最大化する行動を選択する。そのためにあらゆる情報を駆使し、利用する能力がある
2.超自制的:一度決めた行動派将来においても変わらない。誘惑に負けることがなく、意思は強固で崩れず、突きとおす。
3.超利己的:行動を決定する際には、自分の利益のみを考える。他人のための行動をとったとしても自己の利益のため、ないしは見返りの期待であり、その意味で道徳・倫理とは無縁の存在である。
マッテオ モッテルリーニ、経済は感情で動く はじめての行動経済学、p91

という無茶設定で動いている経済学に対して、
心理学とか脳科学的なアプローチを盛り込んでいくのが行動経済学なので、
こういった本を読みながら「これはマーケティングに使えるな!」とか
「これを広告に当てはめるとどうだろう」とか考えると、
そのままニューロマーケティング的な使い方が可能になる。
まだまだニューロマーケティングの本は少ないように感じるのでまずは行動経済学から、という感じ。


この本は
「日常の中の非合理」「自分自身を知れ」「判断するのは感情か理性か」という3つの大きなパートから
日常生活でいかに合理的ではない判断を行っているかを解き明かす形式になっている。
基本的には、心理学で使われているような選択式の問いを解いたあとで、
合理的に考えればAと考えるはずだが、実際にはBと考える人が多い。
その理由はこうこうで、アカデミックな用語で言うとこういう理論があるよ。
と言う形で1章ずつ構成されている。


自ら問いに答えることで、間違えたり正解したりしながら感情が選択するときに
どのように影響するのか知ることが出来る。
アカデミックな用語については先の「ホモ・エコノミクス」のように分かりやすく解説があるので
書いてあることをほとんど理解しながら進めることが出来る。
初めて行動経済学の本を読んだけれど大変分かりやすくて大満足。
特に最後のほうに出てくるゲーム理論最後通牒ゲームの話は今まで疑問に思っていたことだったので、
読んですごくすっきりしました。
タイトル通り、はじめての行動経済学向けの本だと思う。
去年の年末に話題になった、「予想どおりに不合理」も読んでみようと思う。


あと気になった点でいうと「予想どおりに不合理」では合理的でないことを不合理と訳しているけども、
それよりも前に出た「経済は感情で動く はじめての行動経済学」では非合理と訳していて、
意味はだいたい同じなんだと思うけれども、研究している人たちの中ではどちらが使われているのだろう?
という疑問が浮かんだ。
同じ学問についての本なので、どちらかに統一したほうがいいと思うのだけれども。

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学
マッテオ モッテルリーニ
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5 売れ筋の行動経済学解説書
5 行動経済学を学ぶならまずこの本から
5 消費者は感情で動く
4 面白かったですが
4 心の法則の理解が進めば、世界はもっと平和になるのだろうか