本田哲也「戦略PR」

タイトル通り、パブリックリレーションズに関する本。
戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 94) (アスキー新書) (アスキー新書)

アスキー新書からの発行ということで、
佐藤尚之さんの「明日の広告」と抱き合わせで販売したいのかなぁと勘繰ってみたら、
最後に「戦略PRの明日はどっちだ!?」と題した対談があったりする。
帯も売る気満々な感じで、
オバマの勝利もオムツもピロリ菌も戦略PRだった!」と。
オバマブームのうちに、もうちょっと売れるのかなぁと思ったりして。


就職活動のときにPR業界を受けていたし授業でも勉強をしていたので、
内容については個人的には復習といった感じでした。
ただ、200ページ強で事例の紹介もしっかりあって、
PRの説明もあって、ノウハウも少しではあるけれど載っていて、
ものすごく丁寧にまとまっているなぁという感想も持ちました。


こういった内容の本でも結構売れているということは
日本ではPR業界の認識が本当に低いのだなぁと感じた。
仕事の内容がどちらかと言えば裏方仕事なのでしょうがないとは思うけれど。
自分もゼミの関係で高木徹さんの「ドキュメント 戦争広告代理店」を読むまで知らなかったし、
あんまり人のことを言えないのだけれども。
この本が出たことでPR業界が就職活動でも人気になって優秀な人が増えると
もう少し日本の広告界の関係図も変わるのかなぁと思う。
なので、この本の売れ方は興味あります。


ただ、欲を言えば、詳しく紹介されている事例が
永谷園「冷え知らず」さんの生姜シリーズとNintendoDSのソフト「漢検DS」の2つなのだけれども、
2つとも電通の岸さんが出した「コミュニケーションをデザインするための本」に
コミュニケーションをデザインするための本 (電通選書)

詳しく載っているのでちょっと残念だった。
結局、佐藤さん、岸さん、本田さんという一部だけが
面白いアクションを起こせているだけなのかなぁという印象を受けてしまう。
今までに紹介がなかったような事例があるとさらによかったなぁと思いました。


ただ、この本でプロモーションのうちの「広告」と「PR」については
認識が少しずつ変わるのかなと思う。
SPやDM、人的販売なんかの分野の本もこれから出るんでしょうか。
不景気もあって広告費はこの先何年かは削減傾向にあるので、
高い広告をポンと打ってそれで終わりというよりは、
様々なメディアや手法を組み合わせてプロモーションを行う傾向が出てくるはず。
テレビCM出せばオッケーみたいな雰囲気は少しずつなくなっていくと思うのだけれども。


PRについて全然知らない人が読むとこれだけで基本的なことは分かるのでとても良い本だと思います。

戦略PR 空気をつくる。世論で売る。 (アスキー新書 94) (アスキー新書) (アスキー新書)
本田 哲也
アスキー・メディアワークス
売り上げランキング: 79
おすすめ度の平均: 5.0
5 PRはマーケティングの1手法でもあったのか。
5 空気をつくるという発想
5 プロモーションではなく、パブリックリレーション
4 PRの可能性
5 オバマ勝利にも戦略PRがあったんですね・・・