「広告出稿をやめて、雇用を維持したほうが得策です」の記事を読んで

では、今日の経済状況下で、広告主に向かって「テレビCMよりも従業員の方々の雇用を守ることのほうが、御社のブランド価値向上のためには得策です」という提案を広告マンはできるのか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20081205/179363/?P=2

「広告出稿をやめて、雇用を維持したほうが得策です」と、本当のことを言える広告マンはいるか?
という日経BPの記事を見て思うことを書いてみる。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20081205/179363/?P=1


秋葉原の事件からメディアの側でも派遣労働者非正規労働者の問題がかなりクローズアップされて
今は新卒内定者の内定取り消しや非正規労働者の首切りがかなり問題となっている。
問題となっていることが問題なんだろう。
今、労働者の首切りがあれば間違いなくその企業のブランドは低下する。
(一時的になのか、長期的になのかはわからないが)


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に書かれているのは「ブランド構築はPRで、ブランド維持は広告で」というメッセージだった。

たとえばの話ですが、ある製造業の会社が雇用調整をすることになった、というニュースが報道された後に、その会社のテレビCMが流れると仮定して、いったいどんな内容だったら、その報道によってマイナスの方向に傾いた視聴者の気持ちを、プラスに転じさせることができるでしょうか。

おそらく、それが可能なテレビCMのクリエイティブは存在しえないのではないか、とぼくは思います。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20081205/179363/?P=1

消費者が広告は「広告」であるとわかっている今では広告はニュースには勝てない。


結局、広告代理店がどういった方向に進めばいいかという問題のようにしか思えない。
このタイミングで商品なのか企業なのかのCMを出してもらうというのは
逆効果とまでは言えないまでも見ていてなんだかなぁとは思うだろう。
現状のメディア・バイイングを中心とした仕事をそのまま続けていけば、
本当にクライアントのことを考えた提案は出来ないだろう。
例えば、企業のブランド価値のコンサルティングを行いながら広告なりニュースリリースなりを
一緒に考えていくことも形態としては出来るだろう。
広告だけではなく、PRの仕事も同時に行いブランド価値を下げるような情報が出たときは
広告費などのバランスを考えた上でコンサルティングを行うみたいな。
より経営に近づくということかもしれないけれど。
そうすると、本来は原則のはずだった1業種1企業のルールが貫かれないと厳しい。


ずっと言われているフィー制度への移行も当然考えられるだろう。
CMで反感を買うのならば、反感を買わないようなメディアを組み合わせて広告する方法だって
可能性としては十分ありえる。
現状でこの方法をとると広告代理店の売り上げは大きく下がるだろうし、
じりじりとしか移行出来ない状況なのだろう。


学生の僕から見たら変わるべきゴールはもう見えてるのになぁと思うけれど、
企業を経営していくということを考えると難しいのだろうな。
それこそ、「痛みを伴った改革」になるんだろうし。うーむ。