鈴木謙介「サブカル・ニッポンの新自由主義」


よく聞いてる文化系トークラジオLifeのパーソナリティである鈴木謙介の新著。

読んでる途中から、うわーこういう展開かよ!と思う本。

本の流れ

新自由主義と既得権のひずみで埋もれているロスジェネ以降の世代からの視点で
新自由主義アナーキズムの視点で解決を目指すという感じ。
新書のせいかすごいスピードで、新自由主義から生まれる格差批判、
新自由主義でサバイヴしていくことの辛さ、消費社会論、アナーキズムが生まれた背景と
関係する論点に触れゴールへと向かっていく。
(途中から何の話だっけ?とわかりにくくなる場面もありましたが…。)
この本を読む前に先日のLifeの「経済成長」の会を聞いておくと
すんなり入れるように思う。
http://www.tbsradio.jp/life/2008/09/

感想

そもそもの問題の前提は、格差社会とロスジェネ世代の問題なのだろうと思う。
ロスジェネ世代の生きにくさは少しずつクローズアップされているものの、
このひどい状況を解消して、「そこそこの生活」を送るために何とかして!
という論調が多いように感じる。
もちろん、「そこそこの生活」がどれぐらいなのかと言う問題は残っていて、
先日のLifeではこのことについて何度も噛み付いていた。
何とかしてくれと叫ぶことで解決するならこんなに問題になってないよということだろう。
国なのか国家なのかわからないけれど、上からの施しがないという状況で
どうやって幸せを感じながら生きていくかという結論に達したように思う。
そこはすごく納得できる。


ただ、売り手市場で就活をしてこれから働く身の自分としては
ロスジェネの人たちの就職活動の辛さは想像は出来ても体感することは出来ないし、
そのような就職活動を通過して社会で働くことの辛さも正直言えばわかることはない。
想像力の欠如といえばそれまでだけど、その世代が感じたように感じることは絶対に出来ない。
だから、そういう状況を帰ることが出来る共同体であれば、
それがセーフティネットと成り得るのかそれがしっくりこない。
もちろん、秋葉原事件の社会的包摂の問題も最後の結論には大きく影響しているだろう。
本として出来上がっているからには出した結論のような状況が出来上がっていれば、
秋葉原事件のような事件が起きる可能性も限り無く低くなると考えているのだとも思うけども。

まとめ

というわけで、新自由主義って何ぞ?それ就活に関係あるの?みたいな大学生にも
日本的雇用慣行についてページは割いてあるので読みやすい。
旧ルールで生活している世代にはどのように変化しているのか丁寧に説明してある。
今、この世の中がどういった価値観がぶつかり合っているのかを知るにはいい本。
ただ、もうひとことだけ文句言わせてもらうならこのタイトルはない。
サブカル・ニッポンとか出てくるのおまけみたいに付け加えられた最後だけじゃん。
(今言いたいこととして、最後の章があるのはわかるのだけれども)