箭内道彦「サラリーマン合気道」

風とロックの箭内さんが初めて書くビジネス本。

帯には「相手の力を利用すれば実力以上の仕事ができる!」と書かれています。


箭内さんの金髪になった理由もいくつかの場面で書かれています。

言ってしまえば、髪の色を変えるというだけのことですが、僕にとってはとても象徴的な出来事でした。自然と制約から解放されたような気分になったんです。金髪のくせにろくなCM作ってなかったらカッコ悪いじゃないですか。そうやって自分自身を追い詰めたかった。外見を変えることの影響は自分だけではなく、周りにもありました。自然と距離を置かれるようになったんです。p51

箭内さんの合気道の秘訣はこの部分に集約されているように思います。
箭内さんのもがいている状況は
・自分の状況をなんとか変えたい
・だけど、人の目が気になってしょうがない
というのが前提としてあります。
だから、自分を変えたことで周りの人の目がどう変化したかがよく観察されている。
その結果、自分の気持ちを変えれば気分良く働けるといった精神論では終わらない本に仕上がっている。


先に謝ったほうがいいのも、自分を広告するのも、仕事大好きと言ってみるのも
全て周りの人の目が気になってしょうがないから見つかったものでしょう。
仕事は一人で出来るわけではないから、一人自己啓発よりも役に立つのかなと思います。


あとがきに書いているように、制約やブレーキを外すと最初に言ってみながら、
制約やルールを歓迎して発想すると言ってみたりとなかなかファンキーな仕上がりになっていますが、
これも周りの人との関係性で見れば納得できる。
いつでも同じ条件じゃないし、ルールを受け入れざるを得ないときはあるだろうし、
外してもいい制約だってあるだろうし。


自分を高めていくというよりも周りの人とどう付き合っていい仕事をしていくかが書かれた
新しい種類のビジネス本です。