「風とロック 箭内道彦と21世紀広告」を読んだ

CMプランナーの知識に乏しい自分ですが、箭内道彦という人が作ったCMは
いくつも印象的なものがありました。
(展示を見に行った時に、これもそうなのか!って驚いた記憶がある)
特にハイチュウとラルクアンシエルの2つは印象的。何かと思ったもん。


で、その箭内道彦の雑誌などの対談とこの本用の対談をまとめたのがこの本。

この本の中で何度も出てくる言葉・考えに
・消費者に押し付けすぎない
・広告を打ったら買われなくなる商品もある
がある。
広告でバンっと出ることでそれを見ている人たちが一歩引いてしまう商品がある。
これの考え方に似ているなと思うのは、流行ってる(と感じる)ものが
テレビなんかに取り上げられた瞬間にピークを迎えて失速するのに似ている気がする。
コレ自体はテレビで取り上げられることでみんなが手にして飽きられるのかもしれないけど。


また、今の時代にあった広告にしていくんだ!その邪魔をする人は嫌だ!
という感じをものすごく受ける。
最後のあとがき(?)に書いてあることがすごく印象的でした。

よく分厚い広告年鑑を見ながら広告をつくっている制作者を見かけます。
気をつけなければいけないのは、そこに載っているのは少なくとも一年以上前に世の中に出た広告だということです。


新しい、じゃなくて、リアルタイム。
見たこともない斬新なものをまったく新しい方法でつくるのは
つらい(し無理です)けど
力を抜いて「いま」に身を委ねるのは楽しいことです。

あとは、雑誌のコラムの「広告のお葬式」という回が面白かったすね。
広告のお葬式というか、CMのお葬式な感じでしたけど。
ターゲティングの話とか、CMの製作手法の話とか。
CMって確かに一番ターゲティングがなされていない広告かもしれないなぁ。
それは、ブランディングにはCMみたいに一度に大量の人が目に出来る広告が有効とか
平気で書かれたりするぐらいだから、ターゲティングの意識がかなり薄いんだろうな。


2004年に書かれたこの本の最後の言葉は

何年後か、この本を読んだ時、
内容のほとんどがその時代にとってまったく意味のないものになっている必然を、
時に流されながら楽しみたいと、無責任に思っています。

2008年の今読んでも、まだまだ内容のほとんどが有効である残念な時代は続いています。
NHKトップランナーのMCなど、箭内道彦がフィーチャーされている今日この頃なので、
読んでみてはいかがでしょうか?