「ウェブが創る新しい郷土」を読んだ

地域活性化の要請に対して、インターネットによる情報化という方法を使うことで
どのように解決できるかという事例を紹介している本。

序盤の要約

スーパーマーケットの進出と法律による大型店舗出店調整により、
大型店の郊外出店が行われていく。
結果的に、中心市街地が空洞化した。
(これは、生活重視対経済重視という政策の問題らしい)


そもそも、こういった「地域」や「都市」が本当に必要なのかという話だが、
いくつかの点から要請がある。


1.所得流出の問題
東京に本店がある地方の小売店で消費をする。
パッと見ると、地方にお金が落ちているように感じるが、実際に利益を得るのは、
その小売店を取りまとめている会社(ローソンとか、ジャスコとか)になる。
そうすると、地方から東京へというお金の流れが更に増す。
地方から中央にお金が流れていくのでますます貧しくなる。
この流れを止めるためにも、
地方で消費が地方に利益をもたらすような仕組みを作る必要がある。


2.子どもの安全の問題
マスコミなどによって、凶悪犯罪などが取り上げられることで
人々の不安が増幅され、実際の犯罪件数が増えていないにも関わらず
「体感不安」が増している。
犯罪対策が、犯罪原因論(なぜ、この人は犯罪を犯すのかを究明し次に生かす)から
犯罪機会論(犯罪に都合の悪い状況を作り出して阻止する)に変わった。
それにより、犯罪者が入りにくい領域を作ることと、
領域に入っても監視される可能性を高めることで犯罪の防止をするという方向に変わる。
そこで、「地域」というお互いへの関心や愛着が必要になる


3.2007年問題
団塊の世代が退職した後で、働くための場所を提供するキャパが地域にはない。
なので、それを受け入れるための仕組みが必要。


3だけ少ないですが、ざっと上げるとこういう感じではないでしょうか。
で、都市再生のために、「コンパクトシティ」というコンセプトを打ち出している。

コンパクトシティとは、徒歩で移動できるヒューマンスケールな職住近接型の都市であり、都市づくりの思想である。住宅だけでなく、職場、学校、商業施設などを中心市街地にコンパクトに集め「まちなか居住」を進めることで、中心市街地に賑わいを回復し、高齢者の生活利便性を高め、交通渋滞を解消する。さらに、エネルギー消費など環境負荷の低減や、近郊の農地や緑地の保護といった効果も期待されている。(p46)

こういったものと合わせて、地方情報化によって雇用の問題などを解決しようというのが、
この本の大筋だと思っています。
そこでのキーワードは「地域プラットフォーム」と「地域メディア」の2つ。
これ以上書くと本のすべてになっていまうので、この辺で。


感想

今調べたいと思っていた地方の話がものすごくまとまっていたのでためになった。
ただ、コンパクトシティの流れと関係なく、地域情報化に持っていき
そこから筆者のいう「郷土」までいくところが分からずじまい。
ネットを使って活用している事例については、影響力がイマイチ見えにくい。
使っていく側はどんどん成長していくから満足だと思うけど、
じゃあ、それが地域を活性化するほどのパワーを持っているのかというとそれは別かと。
最初にかなりデカイ規模で話が始まったので、どうしてもそこに期待をしてしまう。
じゃあ、自分ならどういう切り口で調べるか、だよなー。
まだまだ、勉強が足りないジャンルです。頑張らないとなー。