私塾のすすめ、読みました

梅田望夫の執筆シリーズの最後を飾る、「私塾のすすめ」を読みました。
ウェブ進化論」、平野啓一郎との「ウェブ人間論」、茂木健一郎との「フューチャリスト宣言」、
そして、「ウェブ時代をゆく」と出て今回のこの本。


読んだ感じとしては、「ウェブ時代をゆく」が一方的に解釈されていく中での、
本人が発信する解説書といった印象。


齋藤孝梅田望夫の二人の二人の思考にはいくつか相違点がある。
代表的なもので言えば…。
・ブログを書かない(齋藤)とブログを書く(梅田)
・教育においてはボトムアップ志向(齋藤)と上位のレベル上げ(梅田)
の2つになると思う。
この2つが分かるとなぜ梅田望夫がインターネットで活動を行うのか、
なぜ齋藤孝が驚くべきペースで本を発行し続けるのか?大学で教えるのかがよくわかる。


インターネットはやはり、自分で検索をかけてたどり着かなければいかない。
どの情報でもたどり着けるということは、探さなければ見つからないということとイコールであるはずだ。
その点、すっかり売れっ子になった齋藤孝の本は本屋に足を運ぶだけで手に取られる可能性は高い。
幅広いジャンルの本を出し続けることで全年齢の人を対象に思考を布教する活動を行っている。
この2つを選んでいるのにしっかりとした理由をもっている点がすごい。


そして、思いを同じくしているのが、「ロールモデル思考」と教育に対する思いのふたつである。
ロールモデル思考については、その人へのあこがれをもつことによって近づこうと努力する。
これによって、新しい世界に飛び込むことが出来るし、成長だって出来るそういうことだと思います。
そして、教育については、どちらも一言でまとめると「私塾」というものになるようです。
齋藤はすでに大学で自分のゼミを持っていたり、塾を運営したりしている点から
旧来の私塾に近い活動をしている。
それに対して、梅田はそれをインターネットで(今はブログを活用することで)出来ないか?
といったことを考えている。
方法は違えども、打開したいのは現状の閉塞している教育ということ。
こういった辺りが「ウェブ時代をゆく」と併せて読むことではっきりと分かるようになっています。


結局のところ、捉え方によっては若者のために書かれたこのシリーズをどう受け取って、
どうアクションしていくかがポイントになっている。
ノーと言われたくない日本人という章が指し示すのは
「若いんだから失敗してもいい。ただ、全力でやれ!」というメッセージだと感じた。
これが、「自分探しホイホイ」ではないことを祈って、大学生活を送るしかないんだな。