伊藤 直樹「「伝わる」のルール 体験でコミュニケーションをデザインする」

今、最も勢いのあるクリエーターの一人であるGTの伊藤直樹さんの著書。

「伝わる」のルール 体験でコミュニケーションをデザインする

彼の行っているような「インテグレートキャンペーン」は
大げさに言えば、「広告批評」の可能性の芽を摘んだともいえる。
クリエイティブの批評から、構造の批評へと変化を促した正にその人であるとも言えるわけです。


あのLOVE DISTANCEはどういった思考から生まれるのか?
そういった疑問に答えるような講義形式の本になっています。


おもしろいなぁと思ったのはインタラクティブなキャンペーンの例として、お化け屋敷を例に出していること。
その中でも成功事例として、富士急ハイランドの「最強戦慄迷宮」を挙げている。
絶妙なタイミングでの演出に、驚いたりビビったりするものの最終的には面白かったと言わせる、
このアトラクションをインタラクティブなコミュニケーションの基本としているのがなるほどと思うところです。


とはいえ、伊藤さんの今までの有名なキャンペーンである
ソニー「REC YOU」とか、Xbox「BIG SHADOW」とかを見ると、
どうしても飛び道具的なイメージがありますが
講義の内容をよく見ていくとどうしたらその商品の魅力が伝わるかのポイントや
消費者にそれを伝えるための「インサイト」をかなり重視していることがわかります。
生徒の提出した課題を添削していくスタイルでの講義では、
飛び道具的な構造については「面白いね」という言葉を出すことが多いものの、
じゃあそれが本当に見る人に刺さるのか、その商品でなければ使えないものなのか、
この2つについて指摘している回数がとても多い。


結局、ここが突き抜けるキャンペーンとそうでないキャンペーンとの違いなんだろなと
とても普通な感想を抱くことになりました。
そして、自分もそういったキャンペーンを設計する側に行きたいという思いが強くなりますね。
WEB制作なんかをやっている人には大変面白い本なのではと思いました。