ブックディレクター幅允孝さんのトークセッションに行ってきた。

昨日のことですが、川口市メディアセブンにて
ブックディレクター幅允孝さんトークセッションがありました。

TBSの情熱大陸に出たからか、定員の倍以上の人が来てました。すごい。
とはいえ、僕もこんな人が出てたよみたいな話を聞いて知ったので人のことは言えません。

この時代だからこその新しい仕事

ブックディレクターってどんな仕事だよって最初は思うんですけど、
本屋さんのプロデュースに近い仕事から、本棚を作るなどなどしている人。
詳しくはhttp://www.bach-inc.com/index.html
これもネットが出てきたことによる「新しい仕事」なんでしょう。
amazonbk1みたいなネット書店が出てきたことによって、
タイトル買いのお客は今までの本屋から足が遠ざかっている。
そこで本当は本屋自体も変わっていかないといけないのだけど変われない本屋も多く、
街の小さい本屋なんかはどんどん潰れている状況。


そこで、幅さんの会社BACHは
「Out of all the books that exist in the world.This is the place you find what you want.」
というフレーズを信念に持って仕事をしている。
本来本屋が持っていた「本と人との幸福な事故」を発生させやすくするための
仕入れであったり、区分けであったりという仕事をしている。
ある意味雑誌が担っている仕事(というか、ダ・ヴィンチがやっている仕事か)だけれども、
それをリアルな場で、一人の人間のセンスで行うという感じ。


さらに言えば、洋服のスタイリストとかDJとかと同じで
新しい本と中古の本、洋書、アートブックなどを活用することで
現在・過去の時間の溝、仕入れの距離の溝を一人で埋められるからすごいんですけどね。
かっこいいと思うと同時に、切り開いていく感じがすごいなと思います。

なるほどなと思ったところ

「本と人との幸福な事故」を発生させやすくするために気にしているのがどうやら
・本屋での人の滞留時間
・本をパラパラとめくる行為
の2つであるなと感じた。
滞留時間が増えればそれだけ本に触れる時間は増える。
だから、本屋にいて苦痛でない環境を作る必要がある。
本をパラパラとめくることで今まで本に興味を持っていない人が
本に触れる瞬間を生み出すことが出来る。
すごく論理的に考えられていてすごいなと思う。


最初に務めた青山ブックセンター
本がどういう風に売れて本がどういう風に売れないかを見続けてきたことで、
「本が売れることがいかに奇跡的なことであるか」を知ったとおっしゃってました。
この体験がすごく役立っているのだろうなとすごく感じた。


すごく密度の濃い2時間でした。本を巡る状況を考える上でとても参考になる話でした。
聞いていて思ったのはこの話を2年と半年前に聞けていたら
あの辛かった体験ももう少し面白くなったのかなとか思ったりした。
いや、あの体験があったから「本が売れることがいかに奇跡的なことであるか」について
共感できるのかもしれないけれども。
12月になるといろいろ思い出しますね。寒かったなぁ。