資本主義に徳はあるか

読んだ動機はふたつあって、
ひとつは自分が好きな高城剛さんが高城イズムの中で薦めていた本であること
http://www.takashiro-ism.com/html/ism16.html


もうひとつは、採用面接のときに僕のとある発言で怒られたことです。
何を発言したかは、恥ずかしくて言えないですが、
理由は、資本主義とか株式会社とかそういうシステムのことを考えているのか??ということでした。
インターンで採用してもらい、理由を教えてもらいました。ありがたいことです。)


好きな人が薦めてくれた本を読むということと、これから社会に出るにあたって
世の中のフォーマットとなっている資本主義を理解しようという点に注意して読みました。


著者のアンドレ・コント=スポンヴィルは経済学者ではなく、哲学者。
そんなもんで、哲学者が経済を勉強して哲学の視点から講演を行ったものを
本にしたものです。


自分にとっては、いくつか知らない言葉はありましたが、
口語調で書かれていることもあり、内容の深さの割りに読みやすい本です。


ものすごく、要約すれば
民主主義で資本主義の国(でかつ、無神教の国)では4つの秩序が存在する。

1.経済ー技術ー科学の秩序
2.法ー政治の秩序
3.道徳の秩序
4.愛の秩序

秩序を混同せずに考えること大事だと。
で、その考え方を使って資本主義や政治の問題、格差の問題や企業倫理などの話を説明しています。

イエス・キリストを気取るのはもうやめにしろ!第3の秩序において、自分の義務を果たし、
第2の秩序において、きちんと投票し、第1の秩序において、職業技術を身につけることからはじめろ。
三つの秩序のおのおのにおける任意の問題の解決のために愛をあてにするというなら、
お前は自分をごまかしているだけだ。おまえは純粋主義者になっているんだ」

という1文がこの本の内容をある程度まとめている気がします。


この秩序分けの考え方はすごくしっくりきた。
資本主義と言うフォーマットを取っている限り、格差が是正されることなんてないことにも納得がいくし、
(これは、ネットワーク論でも説明できることだからそういうものなのだろう)
資本主義に倫理を持ち込むことの滑稽さも理解できる。


いやー、大学生は仕事術の本とか読む前にこういう本を読むべきだとしみじみ。
この社会でどう過ごすのか、考えるきっかけになりました。